せり鍋、ばかうまかった。
仙台にせり鍋を食べるつもりで来た。だが現実はどうだ。ネットで調べて出てくるようなせり鍋を提供する有名店に電話をしてみても、「二か月先まで予約が~」とか「今日はいっぱいです~」などの返事だった。もうさ、どんなに有名でなくても、とくべつにうまくなくてもいいし、なんなら相場よりすこし高くてもいいから仙台でせり鍋が食べたいです。じゃないと、なんのために仙台まで来たのかわからなくなる。いやまあ仙台に来たのはフェリーに乗るためでもあったのだけど。
仙台に来るまでの移動にけっこうお金はかかったので、仙台滞在中にできる目的はなるべく達成しておきたい。「せっかく〇〇したんだから~」などという考えと行動が嫌いな私ではあるが、せり鍋となると話はべつだ。仙台に行って、私たちはせり鍋を食べなくてはならない。もうこれはDNAにもかかわりかねないような、人間のプログラムなのだ。よくもまあ、こんなに文脈と外れた奇妙なことを書けているのも、しばらく前に読んだ小説の影響と久しぶりに来たコメダ珈琲のサンドイッチがうますぎるからだと思っている。
この記事を書くとき、片手と口はサンドイッチを食べるのに使って、空いた片手でキーボード入力をしている。ふだん私は両手でキーボードを入力しているので、なかなか不便に感じる。時間はかかるが、片手でも入力できないことはない。
去年に亡くなった慕っていた人が、「親指シフト」でパソコン入力していることを聞いていた。その親指シフトなら、片手は何かを書いたり食べたりしながら、空いた片手でスムーズにキーボード入力ができていたんじゃないか、などと考えたりしたことはよくある。じゃあ便利そうだから私も「親指シフト」覚えようかな、と思ったりもした。親指シフトの入力方法を知らないまま、調べないまま書いています。
せっかく記事にも書くくらいですからいちおう調べてみたんですけど、「親指シフト」だから片手でスムーズに入力できるってわけじゃなさそうですね。実際どうなのかはやってみなきゃわからんですけども。
仙台ではだめもとでせり鍋が食べれそうなお店にかたっぱしから電話をかけていると、5件目くらいでヒットした。店内に入るとたぶんすべて半個室になっていて、周りの音や声は聞こえるけど、視界は区切られているってやつだった。これはもう完全に、博多ラーメン店の一蘭がやってるような「味集中カウンター」といってもよかろう。すばらしいぞ。もっとやれ。
せり鍋はこれまでのベスト(★)だと思ってしまうくらいばかうまかった。締めの雑炊もたまらんやばかった。この日は仙台で私がいちばんせり鍋だったと思う。
注文するとき、せり鍋が二人前からでしか注文できないことをわかっていながらおずおずと「せり鍋は二人前からなんですね(小声)」と呟くと、おねえさんが「聞いてきます」と言ってくれるので、結果を待っているとくそありがたい答えを持ってきてくれた。声のトーンが上がってしまうのを抑えきれないままに深く感謝し、それで浮いたぶんのお金から普段は注文しないようなべつの高い食べ物を注文できた。仙台の地酒はうまかったし、目の前で炙ってくれる金華鯖もうまかった。
★釧路のラーメン・つぶ焼き
★札幌のおにぎり
★熱海で食べた金目鯛の煮つけ
★長野の味噌汁